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温泉ソムリエのウェルネス旅録(ザ・テラスクラブ ウェルネスタラソ アット ブセナ・沖縄) vol.3

温泉ソムリエのウェルネス旅録(ザ・テラスクラブ ウェルネスタラソ アット ブセナ・沖縄) vol.3

2026年5月19日
朝7時。裸足のまま、砂浜に降りた。 2月の沖縄の砂は、思いのほか冷たかった。その冷たさが足裏からじんじんと伝わってくるたびに、普段いかに自分の身体の感覚を閉じて生きているかを、静かに思い知らされた。サンゴを足裏で転がし、昇っていく太陽と静かな波音の中で深く息を吸う。「整える」というより、感覚を開いていくような時間だった。これが、このホテルが提供する朝のウェルネスプログラム。そしてこの体験が、3泊の滞在の中で最も深く残っている。 宿泊したのは2ベッドルームのオーシャンビュールーム。広いリビングを中心に、それぞれ独立した空間が設けられている。子どもたちがある程度成長すると、「一緒にいながら、適度な距離を保てる」設計が、どれほど滞在のストレスを減らすかを実感する。広いバルコニーにはデイベッドが置かれ、その先には沖縄の青い海が一面に広がっていた。波を眺めながら過ごす午後は、何もしていないようで、確実に何かが回復していく時間だった。 館内の象徴でもあるタラソプールは、温められた海水の中をゆっくりと巡っていくもの。ジャグジー、水流、気泡、石の凹凸——それぞれ異なる刺激が設計されていて、気づけば身体の芯からほぐれている。フランス発祥のタラソテラピーは、海水のミネラルと浮力、温熱作用を使って血行を促し、自律神経を整えるもの。その効果を頭で理解するより先に、身体が答えを出していた。 朝食もまた、思想が一貫していた。天然もずく、その場で圧搾するコールドプレスジュース、スーパーフード系のトッピング、手作りドレッシング。「たくさん食べる」ためではなく、「身体を整えるために選んで食べる」構成。品数の多さで圧倒するタイプではないけれど、一皿ごとの意図が伝わってくる朝食は、それ自体がひとつのウェルネス体験だった。 系列のザ・ブセナテラスへはカートで2〜3分。大浴場やサウナ、複数のレストランも利用できるため、3泊でも食事に飽きることはなかった。静けさと利便性を両立できる立地は、長期滞在において思いのほか大きな意味を持つ。 本州の冬から訪れると、長袖一枚で過ごせる空気それ自体が、すでにウェルネスだった。暖かい土地で過ごすことが、これほど身体を緩めるのかと、毎朝バルコニーに出るたびに思った。 喧騒のないラグジュアリー。静かに心身を緩めるための場所。そういう滞在を求める人に、このホテルは静かに、しかし確実に応えてくれる。 #ThalassotherapyJapan #OkinawaWellness #LuxuryHotelOkinawa #WellnessRetreatJapan
温泉ソムリエのウェルネス旅録(シックスセンシズ京都) vol.2

温泉ソムリエのウェルネス旅録(シックスセンシズ京都) vol.2

2026年4月03日
チェックインの瞬間から、ここでは何かが違うと気づく。 フロントのスタッフが差し出したのは、京都・天香堂の塗香(ずこう)だった。手のひらに香を擦り込み、ゆっくりと吸い込む。その数秒間で、旅の時間が動き始めた。 香りというのは不思議なもので、言葉より先に体に届く。塗香の静謐な香りが鼻腔を抜けた瞬間、「ああ、ここはそういう場所なのだ」と理解した。説明を聞く前に。 館内では1日5件ほどのワークショップが開かれている。その多くはいわゆるコンプリメンタリー(無料)。だけどそういう言葉が霞むほど、世界観が丁寧に作られている。クリスタルボウルの音響を使ったボディバランスのセッションでは、音が身体の奥へ降りてくるような感覚があった。瞑想が苦手な人でも、音に乗っていれば自然と深いところへ連れて行かれる。 スパエリアには、40℃前後の温浴から15℃の水風呂、ドライとミスト両方のサウナが揃う。けれど私が最も心を奪われたのは、温度でも施設の充実度でもなく、ヒノキの香りと水音の設計だった。五感のうち、どこを起点に体験を組み立てるか。少なくとも私には、「香り」と「音」から始まっているように感じられた。 ターンダウンサービスで寝室に香りが広がり、朝には京都産オーガニック野菜の朝食が待っている。酒粕を使ったフェイシャルケアがあり、ガーデンのハーブがティーカップの中に入っている。館内はプラスチックフリーを徹底していて、そのことに気づいた時、「引き算の美学」という言葉が頭に浮かんだ。余計なものを取り除いた先に、本当に必要なものだけが残る。これらは「エシカルな取り組み」として添えられているのではなく、体験の本体として機能している。持続可能性とウェルネスを分けて考えていないのだ。 そういう思想の一貫性は、滞在中ずっと静かに、しかし確実に伝わってくる。 帰宅後も、購入したアロマオイルをディフューザーに落とすたびに、あの空気が戻ってくる。旅が終わっても、香りだけは日常の中に居続ける。それもまた、ひとつの設計なのかもしれない。 #SixSensesKyoto #KyotoLuxuryHotel #WellnessTravelJapan #HotelSpaExperience #SustainableHotel
温泉ソムリエのウェルネス旅録(ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ) vol.1

温泉ソムリエのウェルネス旅録(ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ) vol.1

2026年1月16日
大分・別府に降り立つと、白い湯気が街の角から立ち上る。さっきまでの移動の疲れまで、湯けむりに溶けていきそう。山の斜面からも住宅地の隙間からも、ふわり、ふわり。街が深呼吸しているようだった。 高台の客室に入ると、海(別府湾)と山の間に、無数の湯の点が灯っている。眺めているだけで、肩の力が抜ける。部屋付き露天の塩の湯(ナトリウム‐塩化物泉)は、芯まで温めて、湯上がりの熱を連れて帰れるタイプ。pH8.7の弱アルカリ性で肌あたりがやさしく、メタケイ酸の“しっとり”があとを引く。 竹細工の灯りや籠が、モダンな室内にさりげなく影を落とし、旅先の輪郭をくっきりさせる。ラウンジでは、りゅうきゅうやおおいた和牛を少しずつ。土地の味を、丁寧に。夜、大浴場の露天で湯けむり越しの灯りを眺めた。光の海が、温泉と一緒に暮らしてきた時間の厚みを語ってくる。プールもジムもサウナも揃っているのに、いちばん贅沢なのは、何もしない静けさかもしれない。 ”整う”とは、何かを足すことではなく、本来の自然のリズムに戻ること。別府は、それを静かに元へ戻してくれる街だと思った。 #Onsen #JapaneseWellness #WellnessTravel #SlowTravel #BeppuOnsen